仁義なき戦い/1973/Battles Without Honor and Humanity

34

【仁義なき戦い】実際の抗争事件を元に映画化したシリーズ第一作目

終戦後の広島で実際に起きた抗争事件をモデルとして製作されたやくざ映画。
当事者の一人、美能幸三の獄中手記を元に映画化となったシリーズの第一作目。
やくざ同士の裏切りや騙し合い、組同士の壮絶な抗争が生々しく描かれている。

あらすじ

敗戦直後の広島・呉市。復員した広能昌三はヤクザのいざこざに手を貸して殺人を犯し、刑務所に服役する。やがて山守に保釈金を出してもらい出所した広能は、山守組の組員に。山守は次第に勢力を伸ばし…。

「東映チャンネル」から

呉の闇市から山守組組員へ

昭和21年、終戦後の広島・呉市。復員兵の広能昌三(菅原文太)は、闇市で起こる様々な諍いに関わりながら日々を過ごしていた。ある日、酒に酔った旅のやくざが刀で暴れ広能の親友・山方新一(高宮敬二)が負傷。その報復を山守組の若衆へ頼みに行く。

話を聞いて躊躇する山守組の若衆に変わり「自分がやる」と言い、坂井鉄也(松方弘樹)から渡された拳銃で旅のやくざを射殺。広能は刑務所へ収監される。

獄中で土居組の若衆頭・若杉寛(梅宮辰夫)と出会い、義兄弟の盃を交わすと若杉の脱獄を手助けする。脱獄の経緯を土居組組長・土居清(名和宏)から聞いた山守組組長の山守義雄(金子信雄)が保釈金を出し、広能を保釈させる。

保釈後、山守と親子の盃を交わし山守組の組員となった。

土居組と敵対関係へ

賭場を開いていた広能達が、上田組組長の上田透(伊吹吾郎)と乱闘騒ぎを起こす。上田は広能達が山守と盃を交わした際の媒酌人・大久保憲一(内田朝雄)の親戚だったため、手打ちとして広能が指を詰め大久保へ謝罪。これがきっかけとなり上田は山守組の舎弟となる。

謝罪の話し合いの際、大久保は市会議員の中原重人(中村錦司)と会って話を聞くように山守へ持ちかける。中原は対立する金丸昭一(高野真二)との市議会議長選で勝利すれば、今後の事業資金を用立てる話を山守と約束するが、金丸は山守組と友好的な関係である土居組と繋がりがあった。

このままでは敵対関係となることに悩む山守だったが最終的には金欲しさに引き受け、金丸に対してはバレないように妨害工作を実行。これを成功させ中原は当選となる。実行役の中心だった坂井は身を隠した。

坂井から今後を任された神原精一(川地民夫)だったが、土居組に捕まり事のてん末を暴露。土居組組員であり広能の兄貴分でもある若杉は、事態を穏便に解決すべく裏で策を練るが土居組組長と対立し、その後山守組の客分となる。

山守組を裏切った神原は土居組組員となり山守組を追い詰めていくが、山守組は土居の暗殺を計画。組同士の大きな抗争となるのを避けるため、ここでも広能が「自分がやる」と名乗り出る。そして土居暗殺に成功した広能は再び刑務所へと収監された。

若杉は山守に対して疑念を抱いていたが裏切り者の神原を殺害し身を隠そうとする。しかし、潜伏先を何者かに警察へ密告され、追い詰められた若杉は射殺された。

土居組が壊滅状態となる一方、山守組は坂井が戻り戦争荷役の請負いで勢力は膨張していった。

内部抗争へ

勢力を拡大していく山守組だが、膨れ上がった組織内での統率が取れなくなってくる。ヤクの扱いや上納金・分け前などを巡り、坂井派と幹部の新開宇市(三上真一郎)とその舎弟の有田俊雄(渡瀬恒彦)の新開派が対立。坂井ら幹部連中が集まり山守に解決策を迫るも逃げられ、新開派が反対するなか最後は坂井のやり方を通すことで場を治める。

ヤクの取り締まりを坂井に命じていた山守だが、新開達から押収したヤクを横流ししていることが有田らによって発覚。その事実を知り不満を募らせていた新開は有田の手引で市会議員の金丸と接触。金丸から土居組の組員を使い土居組の再建を促される。金丸は邪魔な坂井らと新開を衝突させることが狙いだった。

新開らの密会を知った山方だったが有田の舎弟に射殺されてしまう。そのことを有田へ詰め寄った坂井は、有田から山守がヤクの横流しをしていることを知らされる。坂井は山守を問い詰めるが激しい口論の末、山守組の実権を自分が握り新開・有田を破門とすることを決める。

坂井の勢力を危惧した山守は坂井の兄弟分である上田の暗殺を策略し、有田らによって上田は暗殺されてしまう。このことを知った坂井は報復のため新開派の殲滅を決意。抗争自体は坂井派の一方的な勝利で終わり、有田は逮捕され新開は暗殺された。

山守組と決別へ

講和条約の恩赦として仮釈放された広能は、山守らに出所を迎えられ坂井の暗殺を頼まれる。不信感を持つ広能だったが、山方へ線香をあげにきた際に坂井と出会う。山守からの暗殺依頼を坂井へ打ち明けて驚かせるが、自分はしばらく旅に出るからその間に山守と和解してもう一度やり直そうと説得する。

暗殺の話を聞いた坂井は激昂しており、広能がいない間に山守を襲撃。山守を強制的に引退させると、元からの対立派閥であった矢野修司(曽根晴美)を舎弟らに暗殺させた。

旅先で槙原政吉(田中邦衛)から連絡を受けた広能は、呼び出された先で山守と会う。そこで坂井派と思っていた槇原が実は山守と繋がっていたことがわかる。山守からは、坂井を暗殺せず挙句には全てを話してしまったことに対して非難される。

山守からはもう一度協力するように持ちかけられるが、愛想を尽かした広能は山守との盃を返し山守との縁を切ることを宣言。しかし、最後のけじめとして坂井を暗殺することは引き受ける。このとき広能は若杉を密告したのはこの二人だと気づく。

坂井との決着

広能は坂井のいるホテルへ向かい、部屋へ襲撃するが逆に捕えられてしまう。覚悟を決めていた広能だったが、坂井は自分の野望や想い、抱えている悩み等の弱気な部分を打ち明けると、生かしたまま広能を解放する。その直後、ひとりで家路につく坂井だったが山守側の別の刺客によって暗殺されてしまう。

後日、山守組によって営まれた坂井の葬儀に現れた広能は、遺影へ向かい互いの無念さを確認すると香典や札名へ銃を撃ちまくる。山守から非難される広能だったが、逆に脅しをかけ葬儀場をあとにする。

Related article

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。